感情は損を惑わす?

宝くじ

 

 日本の教育の至らなさは筆舌しがたい。英語の教育、お金の教育はもとより、統計学はまったく教えてない。大学で初めて学び始めることがしばしばあるのではないだろうか。ある意味社会に出てどう役立つかの視点からは説明できない悪循環だと言える。

 

 毎日、テレビでは「宝くじ」のコマーシャルが華やかだ。巣籠でたまったうっぷんを「宝くじ」で晴らそうではないかと誘っているかのように見える。また、それは結構真実だろうと思う。

 

 その華やかなCMで当選したかのような夢でわくわくさせるのが狙いなのだ。身も蓋もない味気ない話で恐縮する。10億円が当たれば・・・となる。宝くじの販売は2005年度の1兆1037億円をピークに、2019年度は7931億円に下がっている。

 

 宝くじは「愚か者に課せられた税金」だと言われる。1等の当選確率は、隕石が当たって死亡する確率より低い。その当選率の低さに準えてそのようにいわれているのだ。少し簡単な計算をしてみよう。

 

 日本の宝くじの還元率は約47%。1枚300円の宝くじでは期待値は約140円ということになる。宝くじの胴元は、宝くじが100万円分売れたら約47万円を単純に儲けることになる。残りの約53万円を当選者で山分けしろということだ。


 パチンコ玉も同じような原理で動いている。お金でパチンコ屋で球を借りる。そのまま使用せずに返却すると、支払った金額分は返却されない原理だ。当たりまえと言っちゃ当たり前すぎる話なのだが。

 

 1枚300円は安い。1等と前後賞合わせて10億円の高リターン。それを感覚的に期待する「感情」を醸成されて買ってしまっている。行動ファイナンス認知バイアスやサンクコストバイアスは江戸時代から利用されていたのだろう。