口から出たら戻らない

 

 人の顔色を見る。それは場の空気を読むことに等しいかもしれない。そういう意味では僕は空気が読めていない。初対面の人とフレンドリーに触れ合えない。無意識に警戒しているのだ。

 良かれと思うことがあって、冷や汗が出そうなエッジの効いた冗談を言おうとして、エッジが効きすぎて滑ってしまう。周りへの配慮に欠けた発言だけが上滑りしてしまうことになってしまう。

 このようなことは、思想や価値観に根ざすことが多い。特に、今よくやり玉にあがるのはジェンダーに関する発言だ。あの映像を見る限り意図的に考えを主張したのではなく、培った環境で刷り込まれたものが言葉になってしまった感じだろう。

 親しき仲にも礼儀が必要で、夫婦間でも行き違いが起こる。思わぬ一言がいざこざを起こしてしまう。悪意はない。回りに受けようなんて思って軽はずみな発言を金輪際しないと誓うべき人はたくさんいるだろう。

 口は災い元、人の口に戸は建てられない、人の噂も75日など口に関する教えは多い。