不足だと言われながらなぜ余るのか?
新型コロナワクチン「不足のはずが余る」意外な理由、イスラエルの例 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
世界が切望するワクチンの話。治療薬はまだ明確に決めてはない。ワクチンも変異種への効果が未だはっきりしていない。確保できる数も交渉上の確保でいつ入手できるのかまでは明確でない。
徳永勇樹さん(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員)がレポート寄せている。イスラエルは既に国民の2割以上が新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終えているという。
世界の中では「最速レベル」のペースでワクチン接種が進んでいる。そんな「ワクチン優等生」であるイスラエルだが、ワクチン自体は不足しており、接種には高齢者優先などの「順位」が決まっているらしい。
しかし、「余る」ことがあり、優先順位が低いはずの健康な若者でも接種できるケースがある。注意して読むべきなのは、イスラエルの人口929万人だということだ。ちなみに日本の人口は1億2千万人である。
不足だと言われながらなぜ余るのか?
著者によると、予約者のうち、何人かは当日に無断キャンセルするからだ(その数は5%といわれている)。残ったワクチンは翌日使うべきだが、「管理上の理由で、その日のうちに廃棄してしまう」のだ。
ワクチンの接種終了時刻の間際に、地元の人々がワクチン接種所にやってくるという。高齢者でもないし国民でもない筆者は、ワクチンの割り当てが来るのを待つか、自分の国に帰って接種するしかない。接種は半ば諦めていたという。
エルサレムのハダッサ医療センターへ出向いてみる。キャンセル分の接種当日の夕方に接種所から非公式の募集があり、優先接種対象者以外もワクチン接種が可能ということなのだったようだ。
隣に並んでいた若者に「あなたはどこの保険会社なの?」と聞かれた。保険会社を通じて申し込みをする以上、当たり前だが、その該当する保険会社に入っていないと接種できないことが分かり接種できなかったという。
著者はこの体験について、次のようにに述べている。
「このコロナ禍は一種の戦争である」と改めて実感した。皆が日々手探りで生きているのだ。イスラエルにいる間にワクチンが外国人にまで行き渡るかどうかはわからないが、唯一の願いは、「一刻も早くコロナが収束し、またこれまでの生活に戻る」ということだけだ。