罪の声

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 1984年に起きたグリコ・森永事件をモチーフにした映画。封切られて二日目なの観客の少なさには驚いた。当時は、日本全土を恐怖に陥れた誘拐事件、いや企業恐喝事件だった。もう、知らない世代、覚えていても忘れている世代がなってしまったということなのかな。
 
 実は、その年に大学を卒業した。その日は恩師への謝恩会でゼミの同期と宴会をした日だった。最終電車に乗り駅から自宅までのバスはもう最終が出た後で仕方なくタクシーで帰宅した。
 
 夜中だから交通量も少ない。途中、堤防にたくさんの赤色灯を回したパトカーが集まっているのがみえた。こんな時間に何か起きたのか?と気にはなったが、帰宅してすぐ寝てしまった。
 
 その後に、誘拐された江崎社長が監禁されていたのは、あの場所であったことを知って驚いた。今もその時記憶が頭に写真のように焼き付いています。お菓子への毒混入もあったので、多くの方が何らかの形で関わりがあったと思うのだ。
 
 犯人が子供に文章を読ませた録音を強迫に使ったことが特筆的だった。録音は3つあり別々の子供の音声なのですが、その3人が、この35年をどような苦悩で生きてきたのかの視点で事件を描いています。
 
 社会部での現実を逃避した記者が、真実の受け入れ方を問い直す作品でした。新聞記者役に小栗旬、脅迫電話の子供声役の35年後の本人を星野源が演じています。
 
 実質的な被害が確認されずに時効を迎えた特殊な事件ではありますが、反面、解明されていない闇も多い。35年の時間を過ごしてきた今、当時を振り返り当時にはなかった社会の本質的な構造が理解できたのかもしれない。